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野菜・果物を摂取するときの注意

Q and A

d. 野菜・果物の成分の持つ生理作用が薬の作用を変える!

作用する部位で医薬品に影響する食物

アボガド、チーズ、ヨーグルト、チョコレート、バナナなどにはチラミンという成分が比較的多量に含まれています。チラミンには間接的な交感神経興奮作用がありますので、この作用が増強されると、交感神経が興奮した状態となるため急に血圧が上昇することがあります。このチラミンの作用はある種の抗うつ薬(アミン取込阻害薬)や分解酵素(モノアミン酸化酵素)阻害薬によって増強されるので、これらの医薬品を服用中にアボガドなどを大量に食べると血圧が異常に高くなる場合があるわけです。チラミンに富む食物として他に、みそ、赤ワイン、鶏の肝臓などがあります。

また図に示されているように、ビタミンKは血液凝固因子(トロンビン)の前駆物質(プロトロンビン)産生に促進的に働くため、プロトロンビン産生阻害薬のワルファリンに拮抗してしまいます。そのため納豆などを多量に摂取すると、そのビタミンKの影響でワルファリンの抗凝血作用は弱められるのです。

アボガド
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
イソニアジド(結核):イスコチン錠、スミフォン錠、ダイアジッド錠 アボガドに含まれるチラミンは昇圧作用を示すが、本剤はチラミンの分解を阻害するため、血圧が急に上昇することがある。アボガドの大量摂取をさけるのが望ましい。 01
レボドパ(パーキンソン病):ドパストン錠・マドバー錠など アボガドに含まれるピリドキシンはレボドパの分解を促進するため、アボガドを大量摂取した場合、レボドパが効きにくくなることがある。 01
アルファルファ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
エストロゲン(避妊):エストラジオール、エチニルエストラジオールなど アルファルファはエストロゲンと同じ効果があると考えられているが、エストロゲンほど強力ではなく、エストロゲンと併用するとエストロゲンの効果を減ずることがある。 02
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など アルファルファに含まれるビタミンKが本剤の血液凝固阻害作用を妨害することがあるので、摂取を控えるのが望ましい。 02
インゲンマメ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血糖降下薬(糖尿病):インスリンなど 血統降下薬の投与を行っているときにインゲンマメを摂取すると、血糖値が下がりすぎるおそれがある。 02
ガーリック
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
シクロスポリン(乾癬):サンディミュン シクロスポリンの体内での分解をガーリックが促進し、シクロスポリンの効果を弱めるおそれがある。 02
サキナビル(HIV感染症など):インビラーゼカプセル・フォートベイスカプセル サキナビルの体内での分解を、ガーリックが促進する可能性がある。。 02
血液凝固抑制薬(血栓塞栓症):アスピリン、ワーファリンなど ガーリックには凝血を抑制する作用があると考えられ、血液凝固抑制薬を服用しているときにガーリックを摂取すると、あざや出血が生じる可能性が高まると考えられる。 02
かぶら
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ヨウ素(甲状腺腫,甲状腺機能低下症):ヨウレチン錠 かぶらのthio-oxazolidineがヨウ素の吸収を阻害するため、本剤による治療中はかぶらの大量摂取をさけるのが望ましい。 03
04
かぶらの葉
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など 葉に含まれるビタミンKが本剤の血液凝固阻害作用を妨害することがあるので、摂取を控えるのが望ましい。 05
カリフラワー
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ヨウ素(甲状腺腫,甲状腺機能低下症):ヨウレチン錠 カリフラワーに含まれるthio-oxazolidineがヨウ素の吸収を阻害するため、本剤による治療中はかぶらの大量摂取をさけるのが望ましい。 03
04
甘草
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ジゴキシン(うっ血性心不全):ジゴシン錠・ジギキシンサンド 甘草中のグリチルリチン酸による低カリウム血症がジギタリスの中毒を起こしやすくすることがあるので、摂取を控えるのが望ましい。 06
フロセミド(高血圧・乏尿):プロメデス錠・ウレックスなど 甘草中のグリチルリチン酸が低カリウム血症を起こしがちであるため、本剤の副作用である低カリウム血症を強める可能性がある。摂取を控えるのが望ましい。 06
キャベツ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
アセトアミノフェン(頭痛・発熱):ペレックス顆粒・アンヒバ キャベツを含む食事により本剤の代謝が促進されたことから、薬効が低下する可能性が示唆された。 07
ヨウ素(甲状腺腫,甲状腺機能低下症):ヨウレチン錠 キャベツに含まれるthio-oxazolidineがヨウ素の吸収を阻害するため、本剤による治療中はキャベツの大量摂取をさけるのが望ましい。 03
05
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など キャベツに含まれるビタミンKが本剤の血液凝固阻害作用を妨害することがあるので、摂取を控えるのが望ましい。 05
グレープフルーツジュース
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
フェロジピン(高血圧症):スプレンジール錠・ムノバール錠 このジュースにより本剤のフェロジピン血中濃度が上昇し、心拍数も増加した。本剤服用時は大量摂取に注意。 08
サキナビル(HIV感染症など):インビラーゼカプセル・フォートベイスカプセル グレープフルーツジュースの同時摂取により抗HIV薬である本剤の生体利用率が増加することが示唆された。本剤服用時は大量摂取に注意。 09
ニフェジピン(高血圧症):アダラート錠・ニフェラート錠 本剤の消化管吸収に及ぼすグレープフルーツジュースの影響を検討した結果、ジュースの濃度に応じて影響が強まることが観察された。本剤服用時は大量摂取に注意。 10
ベラパミル(狭心症・心筋梗塞など):ワソラン錠・ホルミトール錠 このジュースにより本剤の血中濃度時間曲線下面積(AUC)および最高血漿濃度(Cmax)がそれぞれ、1.4倍、1.6倍上昇した。 11
シクロスポリン(臓器移植後の拒絶反応):ネオーラル内服液 本剤の生体利用率はこのジュースにより約62%増加したが、生物学的半減期は影響されなかった。 12
ミダゾラム(不安症):ミダゾラム注 このジュースにより本剤の血中濃度時間曲線下面積(AUC)および最高血漿中濃度(Cmax)がそれぞれ52%、56%増加した。 12
トリアゾラム(不眠症):ハルシオン錠・トリアラム錠 このジュースにより本剤の血中濃度時間曲線下面積(AUC)および最高血漿中濃度(Cmax)は上昇した。 12
キニジン(不整脈):キニジン錠 本剤をこのジュースと同時摂取することにより、本剤の吸収が遅れ、代謝が阻害される。 13
シンバスタチン(高脂血症):リポバス錠 本剤投与中に非常に大量のグレープフルーツジュースを摂取した場合(1.14 L/日以上),シンバスタチン及びその活性代謝物の血清中濃度が増加したとの報告がある。 12
ゴボウ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血液凝固抑制薬(血栓塞栓症):アスピリン、ワーファリンなど ゴボウは凝血を抑制することがあり、血液凝固抑制薬を服用しているときにゴボウを摂取すると、あざや出血が生じる可能性が高まると考えられる 02
山椒
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
パンクレアチン(消化異常):ストミラーゼ顆粒・タフマックE顆粒など サンショウの果皮には本剤の活性を低下させる作用が認められた。 14
ジャガイモ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血栓溶解薬(血栓塞栓症):ウロキナーゼなど ジャガイモには血液凝固を抑制する成分が含まれている為、血餅を溶解する医薬品を投与しているときにジャガイモを大量に摂取すると、あざや出血が生じる可能性が高くなると考えられる。 02
ショウガ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血液凝固抑制薬(血栓塞栓症):アスピリン、ワーファリンなど ショウガには凝血を抑制する作用があると考えられ、血液凝固抑制薬を服用しているときにショウガを摂取すると、あざや出血が生じる可能性が高まると考えられる。 02
ニフェジピン(高血圧症):アダラート錠・ニフェラート錠 高血圧治療薬服用時にショウガを摂取すると、血圧が下がりすぎる、あるいは不整脈が生じるおそれがある。 02
ベラパミル(狭心症・心筋梗塞など):ワソラン錠・ホルミトール錠 治療薬服用時にショウガを摂取すると、血圧が下がりすぎる、あるいは不整脈が生じるおそれがある。 02
セロリ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
鎮静薬(不安症):ワイパックスなど セロリは眠気を引き起こす可能性があり、鎮静薬の投与を行っているときにセロリを摂取すると、過度の眠気を引き起こすおそれがある。 02
そら豆のさや
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
イソニアジド(肺結核):スミフォン錠・ダイアジッド錠 そら豆のさやはドパを含むため、本剤のMAO阻害作用によりノルエピネフリンレベルが上昇し、高血圧などの中毒症状が出現することがある。また、ヒスタミン中毒が発現する可能性もある。 15
大豆
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など 大豆がワルファリンの効果を弱め、血液凝固の危険性が高まる可能性がある。 02
タモキシフェン(乳がん):ノルバデックス 大豆は体内のエストロゲン量に影響を及ぼして、タモキシフェンの効果を弱めるおそれがある。 02
タマネギ (乾燥もしくは加熱したもの)
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など プロトロンビン時間を延長し、ワルファリンの血液凝固抑制作用を増強する。 16
トマト
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など トマトに含まれるビタミンKによって、ワルファリンの血液凝固抑制作用が阻害されることがある。 05
17
納豆
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など 腸内で納豆菌が産生するビタミンKによって、ワルファリンの血液凝固抑制作用が阻害されることがある。 05
17
パイナップル
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
イソニアジド(肺結核):スミフォン錠・ダイアジッド錠 レポドパ、5-ヒドロキシトリプトファンを含有する食物はMAO阻害薬である本剤の服用により前者ではノルエピネフリンの上昇、後者ではセロトニンの上昇によって、高血圧などの中毒症状が出現することがある。 04
パセリ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血液凝固抑制薬(血栓塞栓症):アスピリン、ワーファリンなど 大量のパセリは凝血を抑制することがあり、したがって血液凝固抑制薬を服用しているときにパセリを摂取すると、あざや出血が生じる可能性が高まると考えられる。 02
利尿薬(高血圧症):ラシックスなど パセリには体内の水分量を低下させる、利尿薬に類似した作用があると考えられ、利尿薬の投与を行っているときにパセリを摂取すると、めまいや過度の低血圧を起こすおそれがある。 02
バナナ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
イソニアジド(肺結核):スミフォン錠・ダイアジッド錠 バナナは5-ヒドロキシトリプトファンを含むため、本剤のMAO阻害作用によりセロトニンレベルが上昇し、高血圧などの中毒症状が出現することがある。また、ヒスタミン中毒が発現する可能性もある。 04
ブロッコリー
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など プロトロンビン時間を延長し、ワルファリンの血液凝固抑制作用を増強する。ブロッコリーを一日に350gから500gも大量に摂取する人々に本剤の作用の減弱が認められる。 05
18
ホウレン草
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など ビタミンKを多く含むほうれん草を大量に摂取することにより、本剤の血液凝固抑制作用が阻害される。 05
マイタケ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
血糖降下薬(糖尿病):インスリンなど 血統降下薬の投与を行っているときにマイタケを摂取すると、血糖値が下がりすぎるおそれがある。 02
芽キャベツ
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
アセトアミノフェン(頭痛・発熱):ペレックス顆粒・アンヒバ 芽キャベツを含む食事により本剤の血中濃度時間曲線下面積が低下し、クリアランスが増加した。これはグルクロン酸包合が促進されたことにより起こったと考えられる。 19
アンチピリン(頭痛):ミニグレン・アルペンゴールド顆粒 同時摂取により本剤の代謝酵素の誘導が起こる可能性がある。 20
ヨウ素(甲状腺腫,甲状腺機能低下症):ヨウレチン錠 芽キャベツに含まれるthio-oxazolidineがヨウ素の吸収を阻害するため、本剤による治療中は芽キャベツの大量摂取をさけるのが望ましい。 03
04
緑茶
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
鉄剤(鉄欠乏性貧血):ブルタール・ユンケル心臓薬 本剤の錠剤と緑茶を一緒に服用したところ、錠剤の効果に有意差は認められなかった。 21
クロルプロマジン タンニンを含有するものと本剤を混合すると沈殿を生じる。本剤を緑茶で服用したときの影響は、阻害説と不変説があり確定していないが、一般的には避けた方が良い。 03
レタス
医薬品名(用途):製品例 医薬品への影響と対策 資料
ワルファリン(血栓塞栓症):ワーファリン錠・アレファリン錠など 本ビタミンKを含有するレタスを大量に摂取することにより、本剤の血液凝固抑制作用が阻害されることがある。 05

(文責 篠塚和正)


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