野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
4. 野菜に含まれる個別成分の機能性に関する研究調査
b. 野菜個別成分の分野別研究動向
図1は2009年中に発表された野菜個別成分に関する研究論文数を成分別に調べた結果です。全論文数は前年の84%に減っていましたが、クマリンとモリンは、それぞれ前年の132%、232%に増加していました。また最多ベスト10位はフィトステロールとクマリンが入れ替わったのを除けば、前年と概ね同じでした。
図1
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図2は分野別の研究報告数を示したものですが、生理学分野が一番多く、ついで薬理学、生化学、生物学、栄養学、免疫学、微生物学の順であり、これは前年とほぼ同じでした。つまり研究の方向性として、まず野菜成分の生理的作用を知るところからその有用性を考えようという戦略のために生理学が一番多いと考えられ、次いで薬理学が多いのは、薬的な観点から疾病の治療や健康の回復に野菜成分を利用したいという期待を反映したものであると思われます。このような研究分野のバランスは1960〜2008年を通しての検索結果でも同様で、実用性を念頭にした研究が多いといえます。具体的には本年も、疾病の治療や予防への応用を念頭にした研究や、各成分の生物学的利用度の検討、誘導体の探索や摂取法を追求するもの、そして医薬品相互作用を検討するものなどがありました。このような要因としては高齢化社会を迎え、国民の健康志向が常に高いことが考えられます。 図3は、図2の発表論文を野菜の個別成分ごとに集計し直したものです。各成分の研究対象分野はやはり生理学と薬理学がほとんどを占め、成分毎に大きく異なるようなことはありませんでした。
図2
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図3
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